B2. 地球と火星のペット生活

何をリジェネレイトする?

生物との共生関係

その理由

人と生物は、なぜなぜ互いに尊重し合う関係を築けないのか?
過去を紐解き、関係性を見つめ直すことから、 より良いことが始まるかもしれないと考えたから。

生物との共生関係の変遷 ――― 過去・現在・未来

過去: パートナーからペットへ

狩猟採集時代から、動物は狩猟の対象としてだけでなく、狩りのパートナーや労働力として共生関係にあり、そこから愛玩動物としてのペットも派生した。

現在: 動物の権利と生態系保全

人口増加と生活水準の向上によりペットブームが起こり、ペットの権利が問題と認識されるようになった。
また、気候変動や持続可能性への取り組みが強化され、生態系管理・保全が重要な課題となっている。

きざし: 新・ノアの箱舟

宇宙開発が活発になり、火星への移住の構想や、アクアポニックスなどの閉鎖生態系の研究開発が進んでいる。
地上では、ペットが心身ともに健康で幸せな状態を目指す取り組みが始まってきている。

新しい世界観: 宇宙と地球の相互進化

動物との共生関係の価値観は、宇宙開拓時代における必要性から再度繰り返され、
宇宙と地球の相互に影響しながら進展することで、人間以外の動物も幸せに過ごせる環境が実現するようになった。

生物との共生関係の変遷 ――― 害菌虫獣との共生

過去: パートナーからペットへ

紀元前では牛やヤギが家畜として飼育され、野生動物が狩りの対象とされていたが、 犬や猫は狩りのパートナーであった。
その後、経済成長期には悪質な環境下で飼育された家畜や過度な猟により 頭数が減った野生動物がいる一方で、江戸時代には金魚ブームが起こり、その後もうさぎブームや小鳥ブームなど 時代に合わせて愛玩動物の流行りは変化し、常に人類がどの動物を愛で、どの動物を生産するか支配していた。

現在: 動物の権利と生態系保全

愛玩動物を家族と同等に感じるグループが増え、それに伴いペット向けのサービスやビジネスが発達してきた。
愛玩動物達も生きやすい世の中へとなってきたが、自然と離れ人間中心に設計された都市デザインにおける熱中症問題など環境課題は残っている。

きざし: 新・ノアの箱舟

新天地への移住計画検討では、自給自足できる宇宙食やロケット燃料に家畜の糞尿を活用するなど、テラフォーミングへの検討が進んでいる。
一方地球では温暖化など環境課題に対する策として、動植物との共生が意識され始めている。変わり始めた街作りは愛玩動物に対しても住みやすい街ビジネスに繋がるはずだ。

新しい世界観: 宇宙と地球の相互進化

火星開拓中期では牛などの家畜も宇宙に連れたち、家畜だった牛は改良され、人類の動物と触れ合いたい気持ちを満たすペット牛が開発される。
地球ではペット幼稚園が開講。動物たちと共生する街でのルール作りが確立した。愛玩動物に対しても社会性が求められ、資格カードが配布される。 この火星開拓中期の価値観をベースに開拓成熟期では相互の価値観が影響し合い、高尚なものへと発展すると考えた。

キャプション-1 地球と火星のペット生活

宇宙開拓中期、宇宙でも生活に余裕が出てくる。家畜として育てた一部の牛は品種改良され、ペット牛が一般的なペットとなった。
一方、地球では動物と共生する街作りが推進され、ペットにも社会性が求められるようになった。ペット幼稚園など共に共生するための教育施設が誕生している。 宇宙の極限状態生活における「生き方重視」と地球の環境問題による「自然保護優先」の価値観は宇宙開拓成熟期に向かって相互に影響し始めていた。

キャプション-2 ペット牛-火星

【生き方重視の価値観】

火星開拓中期、他の生物に対する福祉や権利が意識し始められた。
元から、極限状態の失敗できない宇宙において生き方を重視した丁寧な暮らしをしていた人類は、動植物に対しても繁殖のため、ストレスをかけない対応をしており、動物福祉賛成への価値観の移行に時間はかからなかった。 火星での代表的な動物は牛であり、家畜・土壌改善施策として連れてきた牛と品種改良した小型のペット牛の2種類が存在する。

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【共生する関係への変化】

家畜の牛もペットの牛も、生活環境が尊重されている。これは地球の「自然保護優先」の価値観が影響を与えている。
火星の汚染された土壌を改善する牛達は、次第に飼育される関係から、共生する関係へと変化したのだ。 家畜牛用の生活区域では牛たちがのびのびと過ごせる空間デザインが検討され、ペット牛は人間と共に生活していた。

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【生き方と自然保護と】

火星では商業施設や重要施設が集まったコロニーと生活空間の集まったコロニー群で別れており、コロニーからコロニーの移動は電車を利用する。 動物病院も多くない火星では、お出かけ用のガウンを身に着け、ペット牛たちも電車に乗車し、定期健診へと向かうのだ。
草を食べ、糞尿が肥料となり、亡くなれば土に還る。
人と牛が協力して、火星は少しずつ緑豊かな土地を増やしていくのだ。ト牛は人間と共に生活していた。

キャプション-5 ペット幼稚園-地球

【自然保護優先の価値観】

地球では温暖化を止められなかった結果、自然災害が増え、気候が変化しやすくなり各所で被害が広がった。
地球の自然を回復するため、動植物を資源として雑に扱う価値観を見直し、共生の道を進み始めている。
共生を始めた人類は、環境保護を新たなビジネスチャンスと狙いを定め、「動物との共生」や「自然環境の再生」をテーマに市場を拡大。あらゆる動物と共生する街が市民権を得るようになった。

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【動物と共生する街】

動物と互いに住みやすい街作りを行うため、野生動物との共生エリアの維持だけでなく、これらの街は共に生きていくペットにも社会性を求めた。 飼い主とペットの教育施設「ペット幼稚園」の設立だ。 これは、火星における「生き方重視」の価値観も影響している。
野生動物の自由な環境を手入れするだけでなく、ペット達にも自由に活動できるエリアを街に増やそうという意見が増えたのだ。レストランや駅、スーパー、美容院など、卒園資格のあるペットは様々な所へ行く権利を得て、街自体もペット同伴可能なサービスが増えていった。

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【ペット幼稚園の授業】

ペット幼稚園では、飼い主の住所や生活習慣、ペットの性格も加味しながらカウンセリングと授業をおこなう。
公共の場でのふるまいなど、ペットへの躾だけでなく、仕事が忙しくなれば散歩コースの再検討やホリスティックケアを意識した食生活のアドバイスなど、飼い主になるための授業も欠かせない。 仮に電車内でリードが離れても、ペットが駆け出さないような躾と、どのように対処すれば良いかペットの性格も配慮できる飼い主の知識。そして、お互いの信頼が必要なのだ。 理解を深めながら、二人三脚で卒園までの1年間を頑張っていく。

※ホリスティックケアとは日頃からの健康管理のこと

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【自然保護と生き方と】

この時代の人々はペットを持つことにも一定のハードルがある。
この幼稚園を卒園出来なければ飼う許可が下りないのだ。 卒園時に資格カードを発行し、さまざまな公共サービスを利用できるようになる。
そして、卒園後も定期的に資格更新の時期に合わせカウンセリングを受けていく。 現代よりもペットを飼う人口は減少したが、人生をかけて動物と向き合い、学ぶことで、この制度は最期のペットロスに対する緩和ケアにも繋がっているのだ。