D2. Reflection Tatoo

何をリジェネレイトする?

タイパ・コスパ優先の価値基準

その理由

タイパ・コスパは超短期思考。
大きな社会課題解決に必要な長期思考と相反するから。

日本人の価値基準の変遷 - 過去・現在・未来

過去: コミュニティ優先

経済共同体としての「家」制度は、個人よりも家族や地域の利益が優先され、
効率や最小コストでの成果よりも、長期的な関係維持や共同体の安定が重視されていた。

現在: 経済合理性優先

お金・時間・いいね等、数値で測ることができるものに依存。即時的に結果が分かりやすく、
短期的な満足や成功を得やすいため、タイパ・コスパが日常の意思決定に大きく影響する。

きざし: つながり復権

所有・個人主義からシェア・共同体意識、持続可能なつながりを模索する動きが見られる。
これらの兆しは、新しい形の人間関係や社会のあり方を模索する試みと考えらる。

新しい世界観: 他者への共感と感謝

共鳴と感謝を伴うギフトエコノミーが資本主義と共存する世界では、あらゆるものが円滑につながり、
人々は個人のタイパ・コスパだけではなく広範囲かつ長期的な視野で物事を考えている。

日本人の価値基準の変遷 ――― 他者との向き合い方

過去: コミュニティ優先 - 非合理的な調和

農村社会では、家族や地域が生活単位として機能し、共同体の調和が重要視された。非合理な一方、そこに個人同士の勝ち負けという価値観はなかった。

現在: 経済合理性優先 - 合理的な競争

産業と経済の発展により合理性至上主義(コスパ・タイパ志向)が浸透すると、人々は利益という数値目標に依存し、利己的な競争を繰り広げる。

きざし: つながり復権 - 合理性への疑い

不確実なVUCA時代、合理性至上主義の絶対性が揺らぎ始める。自分以外の存在を曖昧なまま受けとめ、思案し続けることの重要性に気づき始めた。

新しい世界観: 他者への共感と感謝 - わからなさと向き合う

自然、社会、人間は絶えず変化するもの。そこには、自分や自分以外の存在の曖昧さと、長期的な視点で向き合い、共感し、感謝する世界が広がっている。

キャプション-1 Thinking Tatoo

【考えるタトゥ】

かつて、世界は競争の果てに分断を生んだ。行き過ぎた資本主義が地球を傷つけ、独裁国家が戦争をはじめ、ネットの海は顔の見えない人々同士の主義主張争いの場と化していた。人と人、国と国が断絶し、先が見えない未来に怯えるばかりの日々。希望の光は、どこにも見当たらなかった。

そんな暗黒の時代を変えたのが、2054年に生まれた「Thinking Tattoo」だった。人々の肌に突如現れる不思議な模様。それは、感情や、自らをとりまく環境――その瞬間に起こる変化を映し出す鏡であり、自らを語る言葉だった。その模様に決まったルールはない。昨日と今日で姿を変えるそれは、解読不能でありながら、美しく真実を語る。

キャプション-2 比較と競争が終わるとき

ある日、肌に浮かび上がった模様を見つめていた人々は気づいた。「変化こそがアイデンティティ」であると。そして、わからないものを受け入れることこそが、新しい世界の始まりだと。

Thinking Tattooは、人の枠を超えていった。植物に触れれば葉のざわめきが模様となり、動物のそばにいればその感情が肌に流れ込んでくる。生態系と自分自身――その境界が溶け合い、地球と一つになる感覚を、人々は初めて知った。

わからなさに満ちた世界は、かつて恐れられていた。けれど、変化を纏うことを選んだ人々は、対話を重ね、他者と共存する道を模索した。比較し、競争することで成り立っていた合理性至上主義や資本主義は、過去のものとなった。

キャプション-3 わからなさと向き合う

Thinking Tattooが描き出したのは、知識や技術の限界を超える物語だ。絶対的なものなど何一つない――そんなシンプルな真実を、世界はようやく思い出し始めたのだ。
「わからない」という広大な世界に、現代にいる私たちはどこまで踏み込めるだろう。そんな私たちに、Thinking Tattooは問いかける。あなたはその変化を、受け入れる準備ができているのか、と。